スパイス
定時で帰ろうと思った時にメールが届いた。
3月まで住んでいた地区でお世話になったおばちゃんのお通夜のお知らせだった。
大急ぎで普段着で、お通夜会場に向かった。
なんで。なんで。と頭の中で繰り返した。
引越し前の2、3月忙しくて、少しだけ距離のあった、そのおばちゃんには挨拶に行かなかったのだ。
おばちゃんは、私に黙って。とメールをくれた人に言ってたらしい。すみません。
悔やんでも悔やみきれない。
いつでもいけると思ってたら半年経ってた。そして、会えなくなってた。
知らない人ばかりで心細かった時、子どもがかわいい、かわいいと何度も抱っこしてくれた。タバコ臭くて、しわがれ声で、時々厳しいことも言われたけど、それもその人の良い味で、スパイスなんだよなぁ。
人生は永遠ではなく、有限で、これで会うのが最後かもしれない。ずっと続くわけないのだ。わかってることなのに。忘れてしまう。だから、生きれるけど、時々思い出しとかなきゃ、またいつでもできると思って、後悔する。
お顔はとても綺麗でシワがなくなっていた。20歳くらい若返ったみたい。こんな顔で私も死にたい。と思えた。
こんな心無い私に連絡をくれた先輩に感謝。参加できる場所に居れたことに感謝。
自宅に帰宅すると、施設入所中の祖母が酸素をつけているという。季節の変わり目。別れがまたあるのだろうか。さびしい。間に合うなら、もう一度会いに行きたい。母には何度も祖母のそばに行かせてあげたい。